アストリッド・リンドグレーン著『長くつ下のピッピ』
2021-04-14


18年 6月 1日読了。
 名作とされるが初読。吃驚するほど面白く、不勉強を恥じる。船乗りのお父さんが海に流されたピッピは、ごたごた荘という小さな家で一匹の猿と一頭の馬と共に暮らし始める。船旅暮らしで育ったピッピは、常識を知らず奔放気侭で、大人達を混乱に陥れ、子供達を羨ましがらせる。
 ピッピの怪力と財力も痛快だが、やはり、彼女の出鱈目な会話が最大の魅力である。
 「マーリンは、お料理の本をよんでね、クリスマスのブタは、耳には巻いた紙をさし、口にはリンゴをはさんでだすものだ、とおぼえたの。ところが、かわいそうにマーリンは、リンゴをくわえるのはブタだってことが、わからなかったのね。ほんとにみせたかったわ!そのクリスマス・イブのとき、マーリンはね、白いエプロンをつけて、口には、大きなリンゴをくわえてきたのよ!」(p.189)。
 落語の「粗忽長屋」や筒井康隆の「最悪の接触」を思わせるナンセンスな会話が続くのである。
[本]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット