岡田明憲著『ゾロアスターの神秘思想』
2020-03-18


16年 1月21日読了。
 ゾロアスター教とキリスト教、ユダヤ教、仏教などの他宗教との影響関係、どっちが先でどのように影響を与えたかという問題に多くの紙数が使われている。文化史宗教史的に大きな問題であろうが、ゾロアスター教の神話や世界観、儀礼や禁忌などに興味があった俺にはその部分はちょっと退屈だった。文章は判りにくく、著者の主張がどの辺にあるのか判断できない処も多い。
 ゾロアスター教は善悪二元論とユダヤ・キリスト・イスラム教へと続く終末論に特徴がある。歴史的にはゾロアスター教はユダヤ教に先立つ。しかし著者は唯一神への信仰よりも、善悪二元論の方がより発展的であると考えているように読める部分もある。
 ところが俺には二元論よりも、一元論の方が展開が豊かに見える。二元論だと、全部対立構造に収められてしまう感じがするのである。その点では一元論の方が多様に展開できる印象が在る。西欧人が言うように、宗教は多神教から一神教に進化する、とは全く思わないが。
[本]

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