ロバート・クーヴァー著『ユニヴァーサル野球協会』
2019-12-29


15年 9月 2日読了。
 主人公は自分で考案した野球ゲームに没入している。試合を決めるのは賽子と各種一覧表だが、主人公は選手一人一人の個性やシーズンオフの様子なども想像の中で豊かに肉付けしている。そればかりでなく、ゲーム内の時間では架空リーグがもう何十年も続いており、引退した選手の子供がまた選手に成る家系まであった。主人公はゲームに熱中する余り現実生活に支障を来し始める。
 主人公の頭の中にしかいない選手たちが皆魅力的で楽しい。ここまででも充分に面白いが、謎めいた最終章が素晴らしい。「で、先頃ようやくわが輩は結論を得たのだ、つまり神は存在するが、頭がパァだという結論をな」(p.350)。主人公の相手をする年老いた売春婦がなかなか愛らしい。
[本]

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