冬木糸一著『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』
2024-04-11


現代の問題に直結した、テクノロジー、災害、社会の行く末などを主題にした代表的なSF作品を紹介している。現代の問題とのかかわりを重視しているために、超能力やスペースオペラ、幻想文学との境界領域などの重要分野が手薄になっているが、これまでSFを読まなかった人に興味を持ってもらうことを目的にした本なので、これで正解であろう。この次の段階として、つまり興味を持ってSFを読み始めた読者のために、SFの全体像を見渡せる案内書も期待したい。俺が読みたいからである。そんな本に需要があるかどうかは知らない。
 また、主題別の案内書のほかに、年代順の「SF史」の解説書も欲しい。日本SF史に関しては日下三蔵の優れた仕事があるが、世界SF史の本格的なものは『十億年の宴』『一兆年の宴』以降、翻訳書もない。そろそろ。
[本]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット