トマス・スウェターリッチ著『明日と明日』
2020-07-07


16年 7月12日読了。
 テロに依りピッツバーグが崩壊した近未来。ピッツバーグを再現した仮想現実空間で、不正なデータの消去を調査していた主人公が、大きな犯罪に巻き込まれていく。
 序盤は恐ろしく退屈。難行苦行で読んだ。設定は面白いが、主人公が関るのは異常性格者に依る猟奇犯罪の一種で、舞台との関りが薄い。つまり事件が「世界」に関ってこないので、欲求不満が溜まる。ただでさえ閉塞的な内容なのに。
 どうも最近の米国小説はどれもこれも閉塞的。カフカ的不条理に昇華されたり、別のイメージと結び付けたりして面白い物もあるが、この作品のように「生」のまま剥き出しにされると辟易する。アメリカの行き詰まり感が出ちゃってるのか知らん。
[本]

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