16年 5月18日読了。
　子供達の質問に養老孟司が答える形式。類型的でつまらない質問も、「くしゃみをすると、脳ミソが出ますか？」などという突拍子もない質問も、「拒食と過食でつらいんです」などの深刻な質問もある。
　それらに対する解答は、イエス／ノー、ああしろ／これはするな、といった直接的な物ではなく、原因や前提に遡って、疑問その物を疑う。まわりくどく判り易くはないが、語り口の皮肉さに反して誠実な内容である。
　矛先はしばしば大人達に向かう。
　「で、親はダメだよ、そんな簡単に頭がわるいなんて言っちゃ。反省してください」(p.46)。
　「お医者さんも、中途半端におどかすの、よしなさい」(p.84)。
　子供に対しても厳しい解答が多いが、勇気付けられる解答もある。
　「あなたは、きわめてマトモです。りっぱなおとなになります。大丈夫。自分ではわからないかもしれないけど、ちゃんと自分の常識でいろいろ判断していす。質問読めばわかるよ。えらい」(p.98)。