『定本荒巻義雄メタSF全集第7巻 カストロバルバ ゴシック』
2020-05-17


16年 5月14日読了。
 「カストロバルバ」はエッシャー、「ゴシック」はデュシャンを題材にした作品。
 「カストロバルバ」は推理小説の形式だが、エッシャーの現実には不可能な構造物が存在する夢世界が舞台なので、普通の推理は成立しない。外と内、上と下などが混乱した建築物が殺人現場になっていたりする。面白さは犯人当てよりも、そういったイメージと精神分析的な解釈にある。
 「ゴシック」は最早物語性は希薄でシュルレアリスムの気配が濃厚である。特にデュシャンのグノーシス的解釈が主要主題と成っている。物語性の希薄さは、その絵画性というか視覚性に関連があるようにも思える。つまり、構成が空間的であって時間的でない。時間方向に積分して物語性を出しても良いのではないかとも思うが、そうすると普通の小説に成っちゃってつまらぬのかも知らぬ。
[本]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット