笙野頼子著『萌神分魂譜』
2019-12-03


15年 6月24日読了。
 ほぼ作者の主人公の信仰遍歴譚。主人公は神に救いを求めているらしい。救われないとそれまで祈っていた神を棄てているから。そうして自身が神、金毘羅権現と成る、或いは金毘羅であった事に目覚め、自分の分魂である萌神が台所の床から生えているのに出会う。以来主人公は萌神と共にある。
 彼女は救われたのであろうか。良く判らない。が、某かの慰めには成っているようではある。萌神とは何か、分魂とは何か、本当の処主人公と萌神とはどのような関係か、良く判らない。急いで判る必要もないが。
 題名が記でも禄でもなく「譜」と成っているのが気に成る。譜は楽譜の事であろうが、だとするとこの小説は本来演奏されるための物であろうか。それとも作者の奏した楽を採譜した物であろうか。読者はどう演奏すれば良いのであろうか。
[本]

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