ジェフ・ヴァンダミア著『全滅領域 サザーン・リーチ1』
2019-12-01


15年 6月20日読了。
 冒険活劇かホラーを想像させる題名であり、カバー裏の紹介にも大型エンタテインメントとあるが、読んでみるとシュルレアリスティックな幻想小説か不条理文学に近い印象である。巻末解説ではストルガツキー兄弟の『ストーカー』やバラード『沈んだ世界』『結晶世界』を引き合いに出しているが、地球上に現れた特殊な領域を探索する物語である。
 序盤は、調査隊自体の奇妙さや調査隊を送り込んだ機関「監視機構」の不可解さが強調されて、その世界の異常さがどのような物か見えなくて苛立つ。作者の思う壷である。次々と死んでいく調査隊員、発見された前回迄の調査隊が残した膨大な記録、といった展開の後に漸くこの世界の真の異常さが現れ始める。水見稜の『マインドイーター』が好きな人には面白いだろう。
[本]

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