キム・スタンリー・ロビンスン著『2312 太陽系動乱』上下
2019-11-10


15年 5月20日読了。
 気分屋で軽率な主人公の性格設定が良い。ただ、設定が未来なので、生活や良識が現在と違っており、主人公の行動の奇矯さは周囲の人物の反応からしか判らない。太陽系に進出した人類の社会が丁寧に描かれているが、筋立てとしては、水星都市テロ事件と地球の社会問題を宇宙生活者が解決しようと介入する話が、それぞれ殆ど独立に進行し、その両者に主人公が深く関っているので、やや散漫な印象を受ける。筋立てよりも、人類の太陽系開発史と社会文化状況の解説小説として読むべきなのかも知れない。それぞれの惑星の違いなど確かに面白い。
[本]

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