菅浩江著『誰に見しょとて』
2019-05-04


14年 3月21日読了。
連作短編、主題は化粧。化粧の事は全く知らないが、抑圧としての面と開放としての面がある事は判った。それと並行して自力か他力かという二律背反。SFに出て来るサイボーグというのは先端技術に依る身体改造で機能を拡張する物だが、美を一つの機能と捉えればその拡張としての身体改造というのは当然出て来るのであろう。連作形式だが、物語の中心と成る事業を押し進める母娘には、動機の処で感情移入できない。進化や文明の流れとしてその先にある物は…という理屈は判るけど、その狂おしいばかりの情熱はどこから来るの。俺もそういう事に浪漫を感じぬつまらぬ大人に成ってしまったか。個人的な趣味としては化粧の呪術としての側面をもっと書いて欲しかった。
[本]

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